受注の転記を減らしたい。でも、納期や注文変更まで機械に任せてよいのか。AI導入を調べている業務責任者の方へ、仕事を分けるための手順をまとめました。
図解|注文1件を、誰に任せるか
AIは候補をつくる。取引の約束は、人が決める。
同じ数字を別の表へ写す仕事は、使い道と影響を確かめてから廃止を判断。
- 注文書が届く
「コロッケA・2ケース」 - AI読み取りの候補商品名・数量・単位を拾う
原本と照合できる形にする。この時点では注文を確定しない。
- ルール照合・換算対応表で商品と単位を確認
登録条件が1ケース=10パックなら、2ケース → 20パックの候補へ。
単位なし・未登録名 → 確認待ちへ - 人確認・取引判断原本・例外・変更内容を確認
納期変更や締め後の追加を受けるかは、責任者が判断する。
確認・承認できた内容を、登録・出荷へ渡す。
転記候補を作ることと、注文を確定することは別の仕事です。不要な重複をやめ、決まりが明確な処理を仕組みに任せ、あいまいな入力や約束の変更を人へ戻す。この境界を先に決めると、導入する道具も選びやすくなります。
この記事では、HaruIroAIが作成・実行した説明用の受注サンプルと、御社の仕事を書き出す棚卸し票を使います。顧客の稼働実績やAIの読み取り精度を示すものではありません。
最初に、転記の目的を確かめる
受注システムへ入力したあと、同じ数量を出荷表と集計表にも写している。そんな場合は、各表が誰の何の判断に使われているかを確認します。見ていない表なら、更新をやめられるかもしれません。倉庫に必要な表なら、受注データから作れないかを検討します。
ただし、現場が使っていないように見えても、別の部署が締め処理に使っていることがあります。担当者に用途を聞き、関係者が影響を確認してから、経営者や責任者が廃止を決めます。AIを入れる前の確認です。
「読めた」と「そのまま登録してよい」を分ける
注文書に「コロッケA 2」と書かれていたとします。文字を読み取れても、2パックなのか2ケースなのかは、これだけでは決まりません。取引先と合意した商品・単位の対応表が必要です。
対応表がある換算に、必ずAIが必要なわけではありません。登録済みの値を引いて計算する仕組みで足りる場合があります。AIで情報を拾う工程を加える場合も、原本を見直す入口と、確認できないときに止める条件を設けます。
HaruIroAIで試した、6件の受注の分け方
2026年9月13日、HaruIroAIでは、この説明のために架空の注文6件を用意し、決めた条件で処理先を分ける小さなプログラムを実行しました。商品は1種類、1ケース=10パック、別名は1つだけ登録した見本です。
- 商品・単位が登録どおりの注文と、登録済みの別名の注文:各2ケースを20パックの転記候補にしました。
- 単位がない注文、未登録の似た商品名、既存注文の変更、締め後の追加:それぞれ理由を付けて確認待ちにしました。
結果は転記候補2件、確認待ち4件。これは決めたルールが説明どおり動いた確認です。FAX画像やAIモデルは使っておらず、OCRの認識率、時間削減、本番での安全性は測っていません。
試した狙いは、できるだけ多くを通すことではなく、「分からないものが、分からないまま次へ進まない」流れを具体化することでした。食品卸のFAX受注の記事では、この入力例と準備する対応表を詳しく紹介します。
注文変更は、誰の確認で確定するか
例えば「明日の分を2ケースに変更」という連絡は、新しい注文の追加とは違います。どの注文を、何ケースから、何ケースへ変えるのかを確認しないと、二重に受注するおそれがあります。
仕組みが変更前と変更後を並べ、出荷の進み具合を表示し、責任者へ確認を回す。そのあと承認された変更だけを反映する。こうすれば、人が探す手間を減らしながら、取引の判断は残せます。誰が承認するか、代理の担当は誰か、承認前のデータを出荷へ渡さないかまで決めます。
担当者と一緒に埋める、仕事の棚卸し票
最初は1つの仕事だけで構いません。社長が細部を思い出すより、実際に処理している担当者と記入すると、普段の例外が見えてきます。顧客名や実際の注文書を外部へ送る必要はありません。
仕事の名前:
入力はどこから来るか:
誰が、何の判断に使うか:
同じ情報をもう一度書いている場所:
やめてもよいか確認する相手:
決まった条件で処理できる範囲:
情報が足りないときに止める条件:
最後に決める担当者/不在時の代理:
処理後に照合するもの:
元に戻す方法:

小さく試すときに見るもの
初めは、実際の登録を行わずに候補だけを作り、担当者の処理結果と照らす方法があります。通常の注文だけでなく、訂正・欠品・締め後の連絡など、現場で扱う例外も試します。
見るのは自動処理できた件数だけではありません。誤った候補を人が見つけられたか、止めるべき注文を通していないか、確認や修正の負担が増えていないかも記録します。少数の見本で動いても、実際の件数・書式・担当者で使えるかは別の検証です。
必要な道具は、分けた仕事から選ぶ
既存システムの設定で済む部分、市販ツールをつなぐ部分、独自の開発が必要な部分を分けます。費用の考え方はAI導入支援の費用を分ける条件でも説明しています。
HaruIroAIのはるいろ伴奏支援では、現場の仕事を確認し、経営者の判断を支える材料を整理したうえで、必要なAI・自動化の設定、連携、実装、現場での試行を進めます。独自システムの設計・構築が必要な場合は、はるいろ個別開発として範囲と費用を別に確認します。
この記事の作り方
HaruIroAIのサービス設計と、今回作成・実行した説明用プログラムをもとに編集しました。実在する注文書・顧客名・受注データは使用していません。条件の異なる現場での動作や、導入後の成果を保証するものではありません。