FAXの注文書を受け取り、商品を確かめ、数量を入力する。毎日の処理は回っていても、確認が特定の担当者に集中している。食品卸の受注を任されている方に向けた記事です。
図解|いつものFAXに隠れている確認
読める注文書でも、確認は3つ残る。
- 1呼び名 → 自社の商品へ
「コロッケA」はどの規格? 得意先の呼び名と、自社の商品コードを対応表にする。
- 2ケース → 登録する単位へ
1ケース=10パックなら、2ケースは20パック。入数は商品ごとに確認する。
- 3変更 → 元の注文と照合
どの注文の訂正? 元の注文番号・変更前後の数量・出荷状況を確認する。
担当者が補っている条件を、対応表と確認ルールに残す。
取引先のFAXを残しても、社内の手入力は見直せます。受信後の読み取り・照合・転記を、仕組みに任せる方法を検討できます。
自動化の準備は、商品名・注文単位・変更履歴の3つから始めることを勧めます。文字を読み取る道具を選ぶ前に、担当者が頭の中で補っている条件を見える形にするためです。
HaruIroAIが実行した説明用の受注サンプルを使い、通せる注文と確認に戻す注文を比べます。最後に、担当者と一緒に埋められる準備票を載せています。この記事の入力例はすべて架空です。
商品名:得意先の呼び方と、自社の商品コードをつなぐ
「いつものコロッケ」と書かれていても、担当者には通じるかもしれません。仕組みに渡すには、取引先、呼び名、自社の商品コードの対応が必要です。容量や規格が違う商品を、似た名前だけで同じものと決めないようにします。
インフォマートが掲載した森永商事の導入事例にも、取引先と商品コードの照合、会社ごとに異なる届け先・返信先のルールが出てきます。読み取り以外の準備が必要だと分かる他社事例です。当社の導入実績ではありません。出典:森永商事の発注書AI-OCR導入事例
注文単位:「2」が何を指すかを残す
2ケースと2パックでは、出荷する量が変わります。商品ごとの入数、注文時の単位、システムに登録する単位を並べます。
単位のない注文を、いつもケースだからと自動補完するかどうかは、取引先との約束と現場の確認が必要です。条件が決まっていなければ確認に戻します。入数が変わったときの更新担当も決めておきます。
変更履歴:追加なのか、元の注文の訂正なのか
同じ取引先から2枚目が届いたとき、新しい注文とは限りません。「前の注文を取り消して、この数量に変更」という連絡なら、元の注文と結び付ける必要があります。
受付日時、元の注文番号、変更前後の数量、承認者、出荷への反映状況を残します。既に倉庫が準備している場合には、画面の数字を変えるだけで完了せず、出荷側が変更を受け取ったかまで確認します。
自社の説明用サンプルで、6件を処理してみた
2026年9月13日、HaruIroAIでは架空の商品「冷凍コロッケA」、別名「コロッケA」、1ケース=10パックという条件を登録し、次の6件を処理する小さなプログラムを実行しました。
- 冷凍コロッケA・2ケース:20パックの転記候補。
- 登録済みの別名「コロッケA」・2ケース:同じく20パックの転記候補。
- 冷凍コロッケA・数量2、単位なし:単位の確認待ち。
- 未登録の「コロッケ」・2ケース:商品の確認待ち。
- 既存注文を2ケースへ変更:元の注文と変更内容の確認待ち。
- 締め後に2ケース追加:責任者の確認待ち。
転記候補2件、確認待ち4件になりました。候補ができても、この見本では注文を確定しません。説明用の条件で動作を確認したもので、実FAXを読み取った検証、AIの正答率、本番システムとの連携、顧客の削減効果ではありません。
この見本で確認したかったのは、正しい商品を引けることと、情報が足りない注文を止められることの両方です。御社で試す際は、実際の書式や例外に合わせて条件を増やす必要があります。
道具を選ぶ前に埋める準備票
最初から全商品を並べる必要はありません。よく扱う商品と、確認に時間がかかる例外を選び、次を記入します。担当者のやり方を評価するためではなく、今の処理を次の人や仕組みに渡すための記録です。
対象にする取引先・注文の種類:
得意先の商品名/自社の商品コード:
規格・容量が違う商品の見分け方:
注文単位/登録単位/入数:
単位が書かれていない場合の確認先:
元の注文を探すための番号:
追加・変更・取消の区別:
締め後の連絡を判断する人:
変更を出荷側へ伝える方法:
登録結果と原本を照合する担当:
対応表を更新する担当:

市販ツールで足りるか、連携や個別開発が要るか
今の受注システムがファイルからの取り込みに対応し、市販ツールの出力と項目が合うなら、その組み合わせから検討できます。自動で登録する前に、候補ファイルを人が確認して取り込む形も選べます。
複数の倉庫へ振り分ける、取引先独自の条件を引く、既存システムと変更情報を往復させる、といった要件がある場合は、設定で足りるのか、連携処理や独自開発が必要なのかを確認します。「AIが読めるか」だけで見積もりを比べず、照合、修正、保守の範囲まで比べてください。
今の受注を支える経験を、仕組みに渡す
HaruIroAIは、現場が積み上げてきた判断を出発点にします。不要な転記を整理し、任せられる処理を実装し、例外時に人へ戻る流れをつくる。その分け方はAIで自動化できる仕事と人が判断する仕事で説明しています。
現場の棚卸しからAI導入・連携・試行までははるいろ伴奏支援へ。既存ツールで対応できない仕組みの設計・構築は、はるいろ個別開発として、範囲・費用・期間を個別に確認します。
この記事の作り方
HaruIroAIのサービス設計と、今回作成・実行した説明用プログラムをもとに編集しました。実在する注文書・顧客名・受注データは使用していません。条件の異なる現場での動作や、導入後の成果を保証するものではありません。