結論から言うと、人間とAIが同じ略語を別の意味で使っていると、会話の中に「持っていない強み」が生まれることがあります。HaruIroAIの社内で先日実際に起きたのは、強みの候補として挙がった言葉をAIが別の技術の名前だと思い込み、実物を調べたら、確認した主要な保管庫のどこにも、その技術は見つからなかった、という出来事でした。
先にお伝えしておくと、この取り違えは社内の壁打ち(考えを整理するために相談相手になってもらうこと)の段階で見つかっていて、提案書やホームページなど、お客様の目に触れる文章には一切出ていません。だからこそ、どうやって見つけたかの手順が、そのまま皆さんに使っていただける確認の方法になります。
何が起きたか。強みとして挙がった言葉を、AIは別の技術だと思っていた
HaruIroAIでは、自社の強みをどう言葉にするかを整理する壁打ちを行っていました。その中で、技術面の強みの候補として「3GS」という社内の言い方が挙がりました。
AIはこれを、2023年に発表された3次元表現の技術「3D Gaussian Splatting(ガウシアン・スプラッティング)」のことだと受け取りました。複数の写真から立体的なシーンを作り出して描画する技術で、「3DGS」とも略されます。字面がよく似ています。会話は、しばらくその前提のまま進みました。うちにはこの技術がある、これを強みとして打ち出せるかもしれない——そんな流れになりかけていたのです。
実物を検索したら、その技術は見つからなかった
途中で、この前提を確かめることになりました。方法は単純で、リポジトリ——会社のプログラムや資料をまとめて保管している場所——を検索するだけです。
結果、3D Gaussian Splattingの実装も、その技術で作った素材も、確認した主要な保管庫(自社の本部と顧客サイト、2つのリポジトリ)には見つかりませんでした。それらしい単語がヒットした箇所はあったのですが、中身を確かめると、使っているライブラリ(プログラムの部品集)に元から入っている「ぼかし」の処理で、名前が似ているだけの別物でした。単語が出てきたかどうかだけで「あった」と判断していたら、ここでも間違えるところでした。
では、実際にあったのは何か。Three.js(スリー・ジェイエス)という、Webページの画面で3D表現を扱うためのライブラリを使った演出でした。自社サイトのトップページの動きも、お客様のサイトでロゴがうねるように動く演出も、これで作られています。きちんと動いている実物ですが、3D Gaussian Splattingとは別物です。
人間に確認したら、略語の意味が最初から違っていた
検索結果を持って担当者に確認すると、答えは簡単でした。「3GS」は、最初からThree.jsを指す社内の言い方だったのです。人間の頭の中では、使い慣れたライブラリの呼び名。AIの頭の中では、世間で使われる別の技術の略称。同じ3文字が、別々の辞書で引かれていました。
今回の壁打ちでAIは、「その言葉はどういう意味ですか」と聞き返さず、手持ちの知識から一番それらしい意味を当てはめて、そのまま会話を進めていました。聞き返すより、それらしい意味で埋めて進む——AIとの会話では、この種のすれ違いが起こりえます。今回は壁打ちの途中で実物を確かめたので、社内で止まりました。もし気づかないまま提案書やホームページの文章まで流れていたら、持っていない技術を強みとして語る会社になっていたはずです。
直し方。強みは「実物を指させるか」で確かめる
この出来事を受けて、HaruIroAIで整理した手順は3つです。
1つ目は、強みや実績を語る前に、実物を指させるか確かめることです。「その技術は、どのサイト・どのファイル・どの仕事で実際に動いていますか」。この質問に具体的な場所で答えられないものは、まだ対外の文章に書いてはいけない段階です。今回も、実物を確かめにいった検索と、ヒットした中身の確認で取り違えが見つかりました。
2つ目は、社内の言い方や略語の対訳表を1枚作って、AIとの会話の最初に渡すことです。社内で自然に通じている言葉ほど、外の辞書では別の意味を持ちます。新しく入った人に用語集を渡すのと同じことを、AIにもしておきます。
3つ目は、AIが書いた自社の強みや実績を、対外に出す前に実物と突き合わせる工程を1つ挟むことです。書いた本人とは別の目で通すのは普段どおりの手順として行い、最後は人間が確認してから公開する。「言えるけれど、実物がない」を外に出さないための、最後の網になります。
「言えること」と「あること」を一致させる
強みの言葉は、実物より先に育ちがちです。悪気がなくても、会話を重ねるうちに少しずつ立派になっていく。それを実物のところまで引き戻すのが棚卸しで、地味な作業ですが、信頼の土台はここにしかありません。「言えること」と「あること」が一致している会社の文章は、静かでも強いものです。
これはHaruIroAIで起きた1件の実例で、AIが略語を必ず取り違えるという話ではありません。ただ、同じ日の壁打ちの前半では、これとは別の種類の見落としも起きていました。そちらは同じ質問を何度もしてくるAIには、答えずに「どこを見て」と返すに書きました。公開前の文章を別の目で確かめるという話は、AIに書かせた文章、そのまま公開して大丈夫?別のAIでチェックしたら1本止まった話でも扱っています。
この記事の作り方
この記事は、構成・一次記録の照合・文章化にAIを使用し、HaruIroAIの編集ルールと社内の一次記録に基づいて作成しています。社内で検討中の内容(商品や価格の設計など)は、確定情報ではないため記載していません。内容は公開前に人が最終確認しています。