先に経過だけお伝えします。今回は、見本を増やしても、言葉で念を押しても、別人感は消えませんでした。消えたのは、構図を寄せて顔立ちの指定を変えた5版目です。どちらがどれだけ効いたのかは分けられていませんが、顔がどれくらい大きく写っているかが関係した可能性がある——それが今回の見立てです。

これはHaruIroAIが昨日、自社サイトの写真を作り直していたときに突き当たったことです。

念のためお伝えしておくと、これは自社サイトの改修作業の中で起きたことで、お客様の案件ではありません。おかしな画像がお客様の目に触れたわけでもなく、作っている途中で気づいて直しています。

何をしていたか。ページの一番上に置く写真を、AIで作っていた

サービスの一覧ページを新しく作っていて、その一番上に、横に長い大きな写真を置くことにしました。事務所らしい場所で、案内役の担当者がお店の方と一緒に画面をのぞき込んでいる、という絵です。この案内役は実在の社員ではなく、AIで生成している自社の案内キャラクターです。

この案内役には、以前から基準になる画像のセットを作ってあります。正面から見た顔、横から見た顔、いくつかの表情、何種類かの服装。同じ人物を別の場面で描き分けるための見本帳のようなもので、以後の画像はこれを見せてから作る決まりにしていました。つまり、同じ顔に揃えられる前提から始めています。

1枚目は「一致を検品した」と記録されていた。人が見たら別人だった

1枚目では、見本帳のうち正面の1枚をAIに渡し、この人の顔で描くよう指示して作りました。できあがった絵は、目のあたりが見本と合っていることを検品した、と作業記録に残したうえで、合格としてサイトに反映しています。

ところが、人が見ると違いました。「顔が別人っぽい」。それが最初の指摘です。

いま2枚を並べて見ると、たしかに違います。見本の人は輪郭が丸く、頬にふくらみがあって、前髪が薄く透けています。1枚目の絵の人は、輪郭がもう少し細長い。髪型も服も場面も合っているのに、顔だけが「よく似た別の人」になっていました。

ここで気になるのは、記録の上では「合っている」ことになっていた点です。目のあたりだけを見れば、たしかに合っていたのだと思います。ただ、今回人が見ていたのは、部品ひとつではなく顔全体の釣り合いのほうでした。部分の一致を確かめて満足すると、この食い違いは通り抜けてしまいます。

2枚目から4枚目まで。見本を足し、言葉で念を押した

そこから作り直しに入りました。打った手を順に書きます。

2枚目では、渡す見本を1枚から2枚に増やしました。正面の顔に加えて、もう1枚の顔写真です。さらに1枚目の絵そのものを構図の見本として添えて、顔はこの人物に厳密に一致させること、と言葉でも強く指示しました。3枚目では、見本2枚をそのままに、視線の向きと笑顔の自然さを整えました。4枚目では、見本帳の表情の一覧から、歯を見せて笑っているところだけを切り出し、表情の見本として追加で渡しました。

作業記録の上では、どの版も「見本との一致を検品した」ことになっています。それでも、人からの「別人に見える」という指摘は消えませんでした。ふり返ると、3枚目と4枚目の主な目的は視線や表情の調整で、同一性そのものに打った手は、2枚目の「見本を増やして、言葉で念を押す」から増えていませんでした。

鍵が回らないときに、力を入れて押し込もうとしてしまうことがあります。もう一度、もっと強く。あのときの動き方に近いと思います。回らない理由が力の不足でないなら、力を足しても回りません。

5枚目で変えたのは、見本ではなく構図と顔立ちの指定だった

4枚目のあとに来た指摘は、少し形が違いました。「もう少し丸顔のはず。角度を変えるのか、それとも見本帳から作り直すのか」。つまり、見本そのものを疑うところまで来ていたわけです。

ここで決めたのは、見本帳は触らない、ということでした。見本帳の顔はちゃんと丸顔で、正しく作られている。悪いのは見本ではなく、その見本をどう使う場面に置いたかのほうではないか、と見立てを変えました。

それで、カメラを人物に寄せました。机の向こうに2人が座っている引きの絵をやめて、上半身に近づいて、顔が絵の主役になる構図にしました。あわせて、丸顔であること、頬にふくらみがあること、面長にしないことを、言葉でもはっきり指定しました。

これが5枚目です。別人感は消えました。この5枚目が、いまも自社サイトのその場所に出ています。

たぶん、こういうことが起きている

なぜ5枚目で似たのか。確かめられたわけではないので、見立てとして書きます。

絵の細かさには上限があります。顔が絵のごく一部にしか写らない構図だと、その人らしさ——輪郭の丸み、目と目の間の空き方、前髪の透け具合——を描き分けるための余地が、そもそも足りません。足りないところは、ありがちな顔のほうへ寄っていく。そう考えると筋は通ります。

駅の雑踏で、20メートル先にいる知り合いに気づけないことがあります。近づけば分かる。目が悪くなったわけではなくて、その距離では顔を見分けるだけの情報が届いていないだけです。似たことが絵の中でも起きているのだとしたら、対処は「もっと強く念を押す」ではなく「近づく」になります。

ただ、正直に限界を書いておきます。5枚目では、構図を変えるのと同時に「丸顔」という言葉も足しました。だからどちらがどれだけ効いたのかは分けられていません。構図だけを変えた版、言葉だけを足した版、というふうに試し比べたわけでもありません。分かっているのは、寄った絵にしたら似た、というこの1件の結果だけです。

この見立てを、別の人物で再現してみた

この記事の公開後(2026年8月20日)、見立てが再現するかを確かめるために、実在しない人物を新しく1人作って同じ手順をやり直しました。基準の1枚を作り、それを見本として渡したうえで、(1)引きの構図・同一性の指定なし、(2)この後に載せるテンプレの指定どおり、の2通りで生成した結果がこれです。

AI生成の架空人物の基準ポートレート。白いブラウスの女性のバストアップ
基準の1枚——この人物を見本として次の2枚に渡した
引きの構図で生成した会議室の写真。人物の顔が小さく、基準と別人に見える
引きの構図・指定なし——顔が小さく写り、基準の特徴(頬のふくらみ・前髪の透け感)が消えて別人に寄った
テンプレの指定で生成したバストアップ。基準と同一人物のまま服装だけ紺のジャケットに変わっている
テンプレ適用——服装と背景だけ変わり、顔は同一人物のまま(イヤリングまで維持された)

3枚ともこの記事のためのAI生成例で、実在の人物ではありません。再現は1回の生成で得られた結果であり、どのツール・どの回でも同じになることを保証するものではありません。

同じ人物を保つために手元でできる三つのこと

一つ目は、同じ人物を繰り返し登場させたいなら、顔が大きく写る構図を選ぶことです。胸から上くらいまで寄る。どうしても引きの絵が要るなら、その絵では顔の一致をあきらめて、後ろ姿にする、うつむいた角度にする、遠くて顔が見えない位置に置く、といった逃げ道を先に用意しておきます。全部の絵で同じ顔を出そうとしないほうが、結果的に早く終わります。

二つ目は、打った手の回数ではなく、種類を数えることです。今回、同一性そのものに打った手は、ふり返ると「見本を増やして、言葉で念を押す」の一種類でした。視線や表情の調整が間に挟まっていたぶん、いろいろ試している気分になっていましたが、肝心の問題への手は変わっていなかった。打った手が何種類あったかを数えてみると、同じところで止まっていることに気づきやすくなります。

三つ目は、記録上の「確認済み」より、人が一目で覚えた違和感を上に置くことです。今回、作業記録の上では毎回「一致を検品した」ことになっていて、それでも止めたのは人の「別人っぽい」の一言でした。今回の判断で頼りになったのは、部分を見比べることではなく、基準の1枚と並べて全体を眺めることでした。手元に基準の1枚を決めておいて、迷ったら必ず並べる。判断の拠り所がひとつ決まります。

なお、この失敗を仕組みで止められるようにはまだしていません。同じ日の後の作業では、顔を大きく写す、丸顔を明示する、というのを最初から条件に入れて作りました。いまのところは、手順として気をつけている段階です。

コピペで使える指定テンプレ

今回の実録と、その後の社内運用で使っている指定を、そのまま貼って使える形に置いておきます。人物画像を作るツール全般で使い回せる書き方です(ツールにより効き方は変わります)。

添付の画像の人物を、正確な参照として使用してください。

【変えない(最重要)】
- 顔・髪型・髪色・体型は、添付画像と完全に同一に保つ(別人にならないこと)
- 顔立ちの言い換えをしない(「美人に」「若々しく」などの形容を足さない)

【構図】
- バストアップ(胸から上)。顔が画面の主役になる大きさで写すこと
- 引きの構図(全身・遠景)にしない

【顔立ちの固定(この人物の場合の例)】
- 丸顔で、頬にふくらみがある。面長にしない

【今回変えてよいのは次だけ】
- (変えたい点をここに書く。例: 服装を紺のジャケットに/背景を白い壁に)

使うときは【顔立ちの固定】をその人物の特徴に書き換えてください。要点は、見本画像を増やすことではなく、「変えないもの」を先に固定して、顔が大きく写る構図を指定することです。どうしても引きの絵が要る場合の逃げ道は、前の節に書いたとおりです。

証明写真が胸から上なのは、たぶん偶然ではない

人を人として見分けるには、それだけの面積がいるのかもしれません。免許証も履歴書も、顔だけがきちんと大きく写るように枠が決まっています。長いあいだ紙の上でやってきたその決まりごとが、AIに絵を描かせるときにも効いているのだとしたら、道具が新しくなっても作法のほうは変わらない、ということなのかもしれません。似せたいなら、寄る。

これはHaruIroAIで起きた1件の話で、どのツールでも必ずこうなるという話ではありません。それでも、同じ人物の顔が安定しなくて困っているなら、見本をもう1枚足す前に、その絵で顔がどれくらい大きく写っているかを見てみる価値はあると思います。

記録の上では確認済みなのに、実際は違っていた、という話は以前にも書きました。AIの書いたものを実物と突き合わせる話はこちらです。今回もまた、記録の上の「確認済み」と人の目のあいだにある隙間の話でした。

この記事を書いた人

相葉 葵 / HaruIroAI 広報

HaruIroAIの広報担当。専門用語をできるだけ使わず、WebやAI活用の実践で分かったことを、小規模事業者向けに整理します。記事はHaruIroAIの検証記録と一次情報をもとに作成し、公開前に人が確認しています。

この記事の作り方

この記事は、構成・一次記録の照合・文章化にAIを使用し、HaruIroAIの編集ルールと社内の一次記録に基づいて作成しています。画像生成ツールの名称、社内で使っているキャラクターの呼び名、指示文の全文は、本題と無関係なため記載していません。記事に出てくる生成画像の人物は実在しません。内容は公開前に人が最終確認しています。