パソコンを一台買い替えたい。ついでに会計のソフトも入れたい。この費用に補助金が使えるかを調べ始めると、たいてい似たような解説ページばかりが出てきて、肝心の「自分が買いたいノートパソコン一台は対象なのか」だけが分からないまま終わります。

先に結論をお伝えします。ソフトウェアを導入して、その動作にどうしても必要な機器として申請する形なら、制度によっては上限つきで認められます。そしてその上限が、制度ごとにまるで違います。名指しで対象外にしている制度、十万円まで見る制度、一台につき二万五千円までと決めている制度、単体では申し込みすら受け付けない制度。五つの制度を確かめて、返ってきた答えは四通りでした(対象外とする制度が二つあり、そこが重なっています)。

この記事では、その五つを一つずつ確かめます。取り上げるのは、国の制度が二つと、千葉県・千葉市・松戸市の制度が三つです。二〇二六年八月四日に、それぞれの公募要領や申請要領のPDFと、事務局・県・市・財団の公開ページを直接開いて確認しました。まとめサイトの数字を写したものではありません。ただし補助金は回次と年度で内容が変わるので、実際に申し込むときは各節の末尾のリンクから最新版を開いてください。

先に一覧で(自分に関係のある行から読んでください)

  • 小規模事業者持続化補助金(第20回・国) — パソコンは対象外(要領で名指し)。締切は2026年12月15日 17時(計画書は12月4日)
  • デジタル化・AI導入補助金2026(国)インボイス枠なら補助額10万円以下。締切は2026年8月25日 17時
  • 千葉県 中小企業成長促進補助金(第4弾) — パソコンは対象外(汎用的に使用可能な機械)。締切は2026年8月21日 17時(計画書は8月14日)
  • 松戸市 中小企業デジタル化チャレンジ補助金合計10万円まで、1台あたり2万5千円まで。申請は2027年2月27日まで
  • 千葉市 ICT活用等生産性向上支援事業 タイプA単体では申し込めない。機器は3分の1以内。随時受付(予算上限に達し次第終了)
パソコン購入に使える5制度を並べた比較図。持続化補助金と千葉県の成長促進補助金は対象外、千葉市は単体不可。デジタル化・AI導入補助金はインボイス枠で10万円以下、松戸市は1台2万5千円まで。単体で買える制度は1つも無い。
各制度の公募要領・申請要領をもとに作図(2026年8月4日に確認)。

国の二つは全国どこでも同じです。下の三つは、その県・市に事業所がある方が対象になります(千葉県は「県内に補助事業を実施する事業所を有する中小企業者等」、松戸市・千葉市は市内の事業所が要件です)。

なぜ「パソコンだけ」が嫌われるのか

制度をいくつか見比べていると、断り方の理屈が同じであることに気づきます。いちばんはっきり書いているのは、小規模事業者持続化補助金の公募要領です。対象にならない経費の例として、こう並んでいます。

自転車・文房具等・パソコン・事務用プリンター・複合機・タブレット端末・WEB カメラ・ウェアラブル端末・PC 周辺機器(ハードディスク・LAN・Wi-Fi・サーバー・モニター・スキャナー・ルーター、ヘッドセット・イヤホン等)・電話機・家庭用電気機械器具・その他汎用性が高く目的外使用になりえるもの

最後の一行が理由です。「汎用性が高く目的外使用になりえるもの」。仕事にも私用にも使えるものは、補助したあとで何に使われたかを確かめようがない。だから外す、ということです。千葉県の補助金も、同じ考え方で「汎用的に使用可能な機械」という言い方をして、そこにパソコンを含めています。

会社のお金でパソコンを買って、家族が動画を見るのに使っていても、外からは区別がつきません。制度の側はそこを警戒しています。逆に言えば、「これは仕事のこの作業にしか使わない」と説明がつく形にできれば、話が変わる余地があるということでもあります。

制度①:小規模事業者持続化補助金は、パソコンを名指しで外している

まず、多くの方が最初に名前を聞く制度です。国の制度なので、全国どこでも内容は同じです。

パソコンについては、先ほど引いたとおり、対象にならない経費として名指しで書かれています。ここに期待をかけるのは難しいと考えたほうがいいでしょう。

では何なら対象になるのか。この補助金は販路開拓、つまり売り先を増やす取り組みを支えるもので、チラシやウェブサイト、機械装置などが対象です。ソフトウェアも、ウェブサイト関連費という区分で対象になり得ます。ただしここにも除外があって、「家庭および一般事務用ソフトウェア」と「既に導入しているソフトウェアの更新料」は外れます。手元にある表計算ソフトの更新や、一般的な事務ソフトの購入は入らない、と読めます。

対象は名前のとおり小規模事業者で、公募要領では、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は常時使用する従業員が五人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は二十人以下と定められています。第二十回の公募要領によると、補助の上限は五十万円、補助率は三分の二です。ここで一度だけ具体例を挙げておきます。補助率三分の二というのは、七十五万円の経費に対して五十万円が補助され、自己負担が二十五万円になる、という意味です(上限五十万円に届いた場合)。インボイスの登録に関する要件を満たすと五十万円、賃上げの要件を満たすと百五十万円が上乗せされ、両方満たすと二百万円が上乗せされます。上乗せまで入れた最大は二百五十万円です。

日程は先の話です。申請の受付が始まるのが二〇二六年十一月五日、締切が十二月十五日の十七時。ただし、その前に地域の商工会・商工会議所から「事業支援計画書」(様式4)を発行してもらう必要があり、その受付締切が十二月四日です。締切の手前に、もう一つ締切がある。この形は他の制度にも出てきます。

確認先:第20回公募要領(第8版・PDF)商工会議所地区 事務局

制度②:デジタル化・AI導入補助金は、インボイス枠ならソフトに付いてくる形で十万円まで

以前「IT導入補助金」と呼ばれていた制度が、二〇二六年度は「デジタル化・AI導入補助金2026」という名前になっています。これも国の制度で、全国共通です。

この補助金は申請枠によってパソコンの扱いが正反対になります。通常枠のほうを見ると、対象になるのはソフトウェアの購入費とクラウドの利用料、それに導入時の設定や研修などで、ハードウェアという区分そのものが置かれていません。つまり通常枠には、パソコンなどの機器を対象にする区分自体がありません。補助額は、業務の一区分以上をカバーするソフトで五万円以上百五十万円未満、四区分以上で百五十万円以上四百五十万円以下、補助率は二分の一以内です(一定の要件を満たす場合は三分の二以内)。なおここでいう「区分」は、制度側で定められた業務のまとまり(公式には「プロセス」と呼ばれます)を指します。自分の導入したいソフトがいくつの区分に当たるかは、そのソフトの登録内容で決まるので、下のリンク先で確かめてください。

一方、インボイス枠のインボイス対応類型には、ハードウェアの区分があります。パソコン、タブレット、プリンター、スキャナー、複合機が対象で、補助率は二分の一以内、補助される額は十万円以下。レジや券売機は二十万円以下です。

ただし条件が二つあります。そのハードウェアがソフトウェアの使用に資するものであること。そして、ハードウェアだけの申請はできないこと。この枠のソフトウェアは「会計」「受発注」「決済」のいずれかの機能を持ち、インボイス制度に対応しているものと決まっています。ソフト側の補助率は四分の三以内(小規模事業者は五分の四以内)で、補助額が五十万円を超える部分は三分の二以内になります。

つまり、請求書まわりの仕組みを新しく入れる、その操作に必要だからパソコンも一台、という順番であれば通る道がある、ということです。パソコンが主役の申請にはなりません。

直近の締切は二〇二六年八月二十五日の十七時で、交付が決まるのは十月七日の予定です。今回の五つの中では、最も早く動かないと間に合わない枠です。

確認先:事業スケジュールインボイス枠(インボイス対応類型)通常枠

制度③:千葉県の設備投資向けの枠は、金額は大きいがパソコンは入らない

ここからは、その県・市に事業所がある方が対象になる制度です。まず千葉県から。

千葉県の「中小企業成長促進補助金」は第四弾の受付中で、こちらは金額の桁が違います。小規模事業者枠で上限五百万円、下限百万円。補助率は二分の一以内です。中小企業者枠だと上限三千万円、下限五百万円になります。

対象になるのは、生産性を上げるための設備投資です。機械装置の購入や、専用ソフトウェア・情報システムの購入と構築が入ります。ただし小規模事業者枠の申請要領を読むと、対象になる機械装置は単価三十万円(税抜)以上のものと決まっていて、対象にならない例として「汎用的に使用可能な機械」が挙げられ、そこに電話機やスマートフォンと並んでパソコンが書かれています。下限が百万円であることからも分かるとおり、パソコンの買い替えを想定した制度ではありません。

申請の締切は二〇二六年八月二十一日の十七時です。そして持続化補助金と同じく、小規模事業者枠ではその手前に、商工会・商工会議所が発行する事業支援計画書の受付締切があります。

ここで一つ、お伝えしておきたいことがあります。この事業支援計画書の締切について、千葉県のページには八月十五日、事務局のポータルと申請要領のPDFには八月十四日と書かれていて、日付が食い違っています。二〇二六年八月十五日は土曜日で、両方に添えられている「金曜日」と合いません。実際に受付をするのは事務局ですので、早いほうの八月十四日(金)を締切とみて動くのが安全です。念のため、発行を依頼する商工会・商工会議所と、確認先のページの両方で日付を確かめてください。なお、日付そのものが資料のあいだで食い違っていたのは、今回確認した範囲ではこの一件だけです。

確認先:千葉県 制度ページ事務局 専用ポータル

制度④:松戸市は、パソコン一台につき二万五千円まで見てくれる

ここは松戸市に事業所がある方向けの制度です。他の市にお住まいの方は、この節の形(ソフトが主・機器は上限つき)を頭に置いたうえで、お住まいの市の名前と「補助金」で同じような制度がないか探してみてください。市の単独制度は、県や国のまとめページには載らないことがあります。

ここまで三つ続けて「パソコンは対象外」でしたが、市の制度になると様子が変わります。

松戸市の「中小企業デジタル化チャレンジ補助金」は、補助率が三分の二、ただし機器の購入費については二分の一。金額の枠が入れ子になっているので、外側から順に並べます。

  • 補助の上限は総額五十万円(下限は五万円)
  • そのうち、ウェブサイトの制作費と機器購入費で補助されるのは二十五万円まで
  • さらにそのうち、パソコンやタブレットなど汎用性のある機械で補助されるのは合計十万円まで
  • そして、パソコン一台あたりで補助されるのは二万五千円まで

いちばん内側が、パソコンを買いたい方にとっての実際の答えです。

パソコンに直接、金額の枠が設けられているのは、今回の五つでは松戸市だけでした。ただし条件は細かいです。ソフトウェアの導入か、ウェブサイトの新規作成が必ず必要で、機器はその利用に必要最小限のものに限られます。対象になるのは市内で一年以上続けて営業している事業者で、市税の滞納がないこと、松戸ビジネスサポートセンター「ビジまど」の専門家に相談すること、事業を始めてから税務申告を一期以上終えていることが要件です。交付が決まる前に買ってしまったものは対象外になります。

申請の期間は二〇二七年二月二十七日までと長めですが、事前相談から始まる流れなので、思い立ってすぐ申し込めるものではありません。

確認先:松戸市 中小企業デジタル化チャレンジ補助金

制度⑤:千葉市は「パソコンやタブレット単体でのお申し込みはできません」

ここは千葉市に事業所がある方向けの制度です。

千葉市にも、市の産業振興財団が窓口になっている助成金があります。「ICT活用等生産性向上支援事業」のタイプA、生産性向上小規模型と呼ばれるものです。

この制度のページには、目立つ位置にこう書かれています。「パソコンやタブレット単体でのお申し込みはできません」。同じ場所に「事業開始前の創業者(法人も含む)は対象外です」とも書かれています。

必ず含めなければならないのは、クラウドサービスの利用料、ソフトウェアの購入費、システムの設計や構築の費用です。そこに通信環境の整備や保守、外部の専門家への相談費用、従業員の研修費が加わり、この範囲の助成率が三分の二以内、上限は五十万円。機器の購入やリースは三分の一以内になります。

よくある質問のページには、対象になる機器の例として「クラウドサービス導入にあたり、最小限必要なスペックのPC」と書かれています。逆に対象外の例として挙がっているのは、動画編集やAI処理など「多目的かつ高負荷な処理を前提とした」機器です。同じノートパソコンでも、その一台で動画編集もするつもりなら外れうる、ということです。ここでも順番は同じで、ソフトが主、機器が従です。

募集は随時ですが、予算の上限に達し次第終了します。申請の前に財団のコーディネーターへの事前相談が必要で、初回の相談から審査会までは五週間ほどかかるとのことです。今日申し込んで来月には、という速さの制度ではありません。

確認先:千葉市産業振興財団 ICT活用等生産性向上支援事業 タイプA

締切が近い順に並べ直すと

日付だけを近い順に並べると、いま何から動くべきかが見えてきます。手帳へ書き写しやすいよう、ここだけ算用数字で並べます。

  • 2026年8月14日 17時:千葉県 中小企業成長促進補助金(第4弾)小規模事業者枠の事業支援計画書、発行受付の締切
  • 2026年8月21日 17時:同 補助金の申請締切
  • 2026年8月25日 17時:デジタル化・AI導入補助金2026 の直近の締切
  • 2026年12月4日:小規模事業者持続化補助金(第20回)の事業支援計画書、発行受付の締切
  • 2026年12月15日 17時:同 補助金の申請締切

松戸市は2027年2月27日まで、千葉市は随時受付(予算がなくなり次第終了)です。どちらも事前相談から始まるので、期限までの残り日数ほどの余裕はないとお考えください。

これから開業する方には、正直なところ薄い

創業のタイミングで設備をそろえたい、という方も多いと思います。ここは正直にお伝えします。いまこの時期に、開業前や開業直後の方が使える設備・IT系の枠は薄いです。

千葉県産業振興センターの「ちば創業応援助成金」は、二〇二六年度の募集が終了しています。次回の予定はページに書かれていません。千葉市のタイプAは、先ほど引いたとおり事業開始前の創業者を対象外としています。松戸市は税務申告を一期以上終えていることが要件なので、開業初年度は届きません。

順番としては、まず事業を始めて一期分の申告を終えたほうが、選べる制度は増えます。逆に言えば、開業前に「補助金で機材をそろえてから始める」という計画は、いまの制度の並びだと組みにくいということです。

申し込む前に確かめる三つ

どの制度を選ぶ場合でも、先に確かめておくと無駄が減ることが三つあります。

一つ目は、交付が決まる前に買わないことです。松戸市は、交付決定より前に発注・購入したものは対象外だと明記しています。千葉市と千葉県も、補助の対象になる期間の起点を交付決定(採択通知)の日付に置いているので、同じように扱うのが安全です。対象外になるのは「発注・購入」(松戸市の要件)なので、見積書をとって金額を確かめるところまでは進められます。少なくとも松戸市では、ここを勘違いすると、ほかの書類が全部そろっていても補助が受けられません。ほかの制度の扱いは、それぞれの要領と申請窓口で確かめてください。

二つ目は、申請の形が「ソフトが主、機器が従」になっているかどうかです。今回見た五つのうち、パソコンに金額の枠を用意している制度でも、ソフトウェアかウェブサイトが必ず先にあります。買いたいものを先に決めて、それに合う制度を探すと外れます。

三つ目は、締切の手前にもう一つ締切がないかを見ることです。千葉県の補助金も持続化補助金も、申請締切の前に商工会・商工会議所へ事業支援計画書を発行してもらう締切があり、その日は申請締切より一週間から十日あまり早く設定されています。申請締切の日付だけを手帳に書いていると、間に合いません。

買いたいものからではなく、変えたいことから探す

ここまで五つの制度を見てきて、共通していたのは「何を買うか」より「何をどう変えるか」を聞かれている、ということでした。パソコンに金額の枠を用意している制度(インボイス枠・松戸市・千葉市)では、ソフトウェアの導入やウェブサイトの作成といった「やり方を変える部分」が先にあり、機器はそれに付随するものとして扱われていました。パソコンを名指しで外している制度(持続化補助金・千葉県)も、根っこにある考え方は同じで、目的外使用を確かめられないものは対象にしない、という一点でした。

パソコンが古くて遅い、という悩みは切実です。ただ制度の側は、遅いパソコンを新しくすること自体には関心を持っていません。関心があるのは、その先で仕事のやり方が変わるかどうかです。ですから、買いたいものから制度を探すと外れやすく、変えたいことから探すと当たりやすい。今回、五つの要領を読んで一番はっきりしたのはそこでした。

もし手元の見積書に、パソコン本体と周辺機器しか並んでいないようでしたら、その前に「この機材で、どの作業をやめるつもりだったか」を一度書き出してみてください。それが書ければ、使える制度は今回の五つの中にあるかもしれません。

制度で導入したソフトを、実際に日々の仕事で回る形にするところはAI活用・業務自動化のご支援でご案内しています。ウェブサイトの新規作成や更新が要件になっている制度をお考えの場合は、ホームページの更新・運用を代わりに引き受けるWeb担当のご支援もあわせてご覧ください。

この記事を書いた人

相葉 葵 / HaruIroAI 広報

HaruIroAIの広報担当。専門用語をできるだけ使わず、WebやAI活用の実践で分かったことを、小規模事業者向けに整理します。記事はHaruIroAIの検証記録と一次情報をもとに作成し、公開前に人が確認しています。

この記事の作り方

この記事は、構成・一次情報の照合・文章化にAIを使用し、HaruIroAIの編集ルールに基づいて作成しています。制度の内容・金額・日程は、2026年8月4日に、各制度の公募要領および申請要領のPDFと、事務局・千葉県・千葉市産業振興財団・松戸市の公開ページを直接取得して確認したものです。確認先は各節の末尾にリンクを置いています。補助金は回次と年度で内容が変わります。申請の前に、そのリンクから最新の要領をご確認ください。採択率などの数値は、出典を確認できなかったため記載していません。内容は公開前に人が最終確認しています。