先に結論をお伝えします。今回の下調べでは、AIは候補を見つける場面で役に立ちました。でも、答えが割れたときにどちらが正しいかを決めることは、AIの回答文だけではできませんでした。決め手になったのは、公式ページの本文へ戻って、日付と金額を直接照合することだけでした。
この記事は、2026年8月4日にHaruIroAIの社内で実際に起きたやり取りの記録をもとにしています。なお、間違った締切や金額は、社内の下調べの段階で止まっており、記事やお客様へのご案内に使われたことはありません。お客様への影響はない、社内工程の中の出来事です。この記事では、AI同士の答えが割れたときに公式ページで何を確かめれば決められるのか、その三点を実例とともにまとめます。
何をしていたか。AIを二段構えにして、補助金の情報を調べていました
うちはいま、補助金や支援制度を紹介する記事を作り直す準備をしていて、その下調べに、AIを二段構えで使いました。
まず1つ目のAIに、「国や自治体の公式ページなど、一次情報だけを根拠にして調べること」という条件を付けて、制度の一覧を調べさせます。次に、その結果をまるごと別の会社のAIへ渡して、「この調査に間違いがないか、独立に事実確認してほしい」と頼みます。調べた本人に確認させるのではなく、別のAIに見せる。人間の仕事で言う、作った人と検算する人を分けるダブルチェックと同じ発想です。別の会社のAIに確認させる運用自体は、うちが普段のブログ検品でもやっている手順です。
確かめ役のAIは、丁寧な報告書を返してきました。11項目のうち9件は「一致」。そして2件に、「不一致」の判定が付いていました。
「ここが違います」という訂正が、2件返ってきました
1件目は、国の「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の第1回公募の日程です。調べ役は「受付開始が9月30日ごろ、締切が10月30日」としていました。確かめ役はこれを「不一致」とし、締切は9月30日18時だと直してきました。事務局の告知ページのURLと原文の引用付きです。
2件目は、千葉県の「ちば創業応援助成金」の上限額です。調べ役は「上限100万円」としていました。確かめ役はこれも「不一致」とし、100万円ではなく200万円だと直してきました。こちらも県の公式ページのURL付きです。
締切と金額。予定や資金計画に直結する2点が、ちょうど直された形になりました。締切を信じて予定を組めば準備の計画が変わりますし、上限200万円のつもりで資金繰りを考えていたら、実際は100万円だった、では済みません。
出典が付いていて、文章が整っていて、判定の表まである。見た目では、疑う理由がありません。
公式ページを開いたら、訂正のほうが間違っていました
それでも、答えが割れた2件だけは、公式ページの本文に直接あたって確かめることにしました。
1件目の締切。確かめ役が根拠に挙げたのは、事務局のスケジュール変更のお知らせのページでした。開いてみると、そこには変更前と変更後の日程が並べて書いてあります。変更前が「受付開始8月31日・締切9月30日」。変更後が「受付開始9月30日・締切10月30日(金)18時」。確かめ役の言う「締切9月30日」は、変更前の日程でした。変更のお知らせを根拠にしながら、変更前と変更後を逆に読んでいたのです。元の調査のほうが正しい日程でした。
2件目の上限額。確かめ役が根拠に挙げた千葉県のページを開くと、そのページ自身に「ちば創業応援助成金」は交付上限額100万円と書いてあります(募集元である公益財団法人千葉県産業振興センターの公募ページも同じく100万円です)。では200万円はどこから来たのか。同じページには、もう1つ別の制度「千葉県地域課題解決型起業支援事業補助金」が並んで載っていて、そちらの交付上限額が200万円でした。当の制度の金額ではなく、同じページに並ぶ別の制度の上限が答えに入っていたのです。
どちらも、正しいページにはたどり着いていました。食い違いが起きたのは、そのあとです。締切のほうは、返ってきた日程が、変更のお知らせに並べて書いてある変更前の日程と一致していました。上限額のほうは、返ってきた金額が、同じページに並ぶ別の制度の上限額と同じ数字でした。そして出典のURLが付いていることは、そのページに書いてある内容と答えが一致することの保証にはなりませんでした。
それでも、新しく見つけてきた制度は本物でした
確かめ役の名誉のために、逆の話も書いておきます。
この確かめ役は、事実確認のついでに、調べ役が見落としていた制度を新しく見つけてきました。「松戸市中小企業デジタル化チャレンジ補助金」。公式ページで確かめると、実在して、受付中でした。ソフトウェア導入などが前提で、パソコンやタブレットは1台あたり2万5千円・合計10万円まで、という条件付きながら、機器の購入費が補助対象に入ります。受付は令和9年2月27日まで。個人事業主も対象です。これは調べ役だけでは拾えていませんでした。
つまり、同じAIが、見つける仕事では調べ役より広く拾い、決める仕事では2件とも間違えた、ということです。なおこの新発見にも、締切が公式より1日早く書いてある、という小さなずれはありました。
今回は「見つける」で役に立ち、「決める」では頼めませんでした
今回の一部始終を、うちはこう整理しています。
今回、候補を増やす方向の仕事——探す、拾う、一覧にする——は、速くて広いものでした。二段構えにしたおかげで見落としが1件埋まりました。答えが割れたこと自体にも価値がありました。11項目のうち「疑って確かめるべき場所はこの2件だ」と絞ってくれたからです。
でも、割れた答えのどちらが正しいかを決める仕事は、AIに頼めませんでした。確かめ役は根拠ページまで示して間違えたのですから、ここでAIをもう1つ増やして多数決を取っても、決まる保証はありません。実際、締切のほうの読み間違いは、変更のお知らせという「正解が書いてあるページ」を読んで起きています。
決め手になったのは、公式ページの本文へ戻って、1件ずつ直接照合することだけでした。
使う前の三点確認
そこで今回の実例から、AIに調べさせた制度の情報を使う前の最低限の確認として、次の三点を整理しました。なお、うちが記事へ採用する事実は、この三点に限らず、公式ページで直接確認できたものだけに限定しています。
一つ目は、出典が公式ドメインか。国の制度なら go.jp や事務局の公式サイト、自治体の制度なら lg.jp など。まとめサイトや紹介記事しか出典に無いなら、公式ページを探すところからやり直します。
二つ目は、そのページ自身の更新日や年度表記。開いたページが、確かめたい年度の情報かどうかを先に見ます。
三つ目は、締切と金額だけは、ページ本文を自分の目で見る。AIの要約や訂正を経由せず、公募期間の行と上限額の行を直接読みます。今回、答えが割れたのもこの2点でした。公式ページの本文で記載箇所を探し、それでも見つからないときは、事務局へ問い合わせます。
この記事に出てくる日付や金額も、すべて2026年8月4日に各制度の公式ページを直接開いて確認した時点のものです。制度の情報は変わりますから、お使いになる際は、必ずその時点の公式ページでご確認ください。
割れたら、決め手は一次情報
この件のあと、うちはAI2本の調査結果を「そのままでは使わない原文」として保存し、公式ページで直接確認できた事実だけを別の表に移して、記事の執筆はその表からだけ引く、という手順にしました。AIの調査を疑う話ではなく、AIの調査をどこまで信じて、どこから自分で確かめるかの線を引いた、という話です。
AI同士の答えが割れたときは、困った事態ではなく、確かめるべき場所を教えてもらった合図として扱えます。そして今回の決め手は、多数決でも、より賢いAIでもなく、一次情報でした。
別の会社のAIに検品させる普段の運用はAIに書かせた文章、そのまま公開して大丈夫?別のAIでチェックしたら1本止まった話に、「記録にそう書いてある」を確かめずに緊急対応へ進んでしまった話は「お客様が困っている」と記録して緊急で直したあと、その仕組みが本番のどこにも無いと分かったに書きました。
「AIに調べさせた情報を、どこまで信じていいか分からない」という方は、AI活用・業務自動化のご支援でご相談を承っています。
この記事の作り方
この記事は、構成・一次記録の照合・文章化にAIを使用し、HaruIroAIの編集ルールと社内の一次記録(AI2本の調査出力を保存したファイル、および各制度の公式ページの直接取得記録)に基づいて作成しています。記事中の制度の名称・日付・金額は、2026年8月4日に事務局・公益財団法人千葉県産業振興センター・千葉県・松戸市の各公式ページを直接開いて確認した時点のものです。制度の内容は変わることがあるため、ご利用の際は必ず最新の公式ページでご確認ください。調査に使ったAIツールの製品名は、特定の製品の優劣を示す目的の記事ではないため記載していません。今回確認できたのは、この1件で起きた読み間違いの型です。内容は公開前に人が最終確認しています。