違いを生んでいるのは、商品ではありません。各制度の公募要領や案内ページにある、補助対象経費・補助率と上限・対象とならない経費の欄の書き方です。

どの制度がパソコンの購入に使えるかという制度ごとの答えは、以前の記事「パソコン購入に補助金は使えるか 国と千葉の5制度の上限と条件」にまとめました。今回はその先の話です。初めて見る制度の要領でも、どの欄をどう読めば「自分の買い物が対象になりそうか」を自分で確かめられるのか。見るところを三つに絞ってお伝えします。二〇二六年八月六日に、HaruIroAIで、松戸市のページと、国のデジタル化・AI導入補助金の枠ごとのページ、それに小規模事業者持続化補助金の公募要領のPDFを直接開いて確かめた記載をもとにしています。

一つ目:買いたい物の名前ではなく、「区分名」を探す

対象経費の欄に、「パソコン」という項目がそのまま載っているとは限りません。区分の名前だけが並んでいる制度があります。

松戸市の中小企業デジタル化チャレンジ補助金のページを例にします。補助対象経費として並んでいるのは、おおまかに言うと、ソフトウェアの利用料・購入費とその保守、ウェブサイトの制作費とその保守、インターネット通信などのインフラ整備費、デジタル機器のリース経費、デジタル機器の購入経費、従業員の教育訓練の経費、という六つの区分です。

パソコンが入りうる区分の名前は、こう書かれています。

ソフトウェア利用に不可欠なデジタル機器の購入経費(パソコン・タブレット等)

読んでいただきたいのは、区分名そのものに「ソフトウェア利用に不可欠な」という条件が入っていることです。パソコンなら何でも入る区分ではなく、この制度で導入するソフトウェアを使うのに欠かせない機器だけが入る区分です。実際、「対象外経費の例」の欄には「中古物品やソフトウェア利用に必要不可欠ではない機器購入費」が挙げられています。

さらに同じページには、「必ず、補助対象経費「1」または「2」を含む必要があります。」とあります。1と2は、ソフトウェアとウェブサイトの区分です。つまりこの制度では、機器の経費だけで申請を組むことはできません。主役はあくまでソフトウェアやウェブサイトで、機器はそれに付いて入る扱いです。

区分名を見つけたら、名前に含まれている条件ごと読んでください。「デジタル機器」の四文字だけを拾って「パソコンも対象」とメモしてしまうと、条件の部分が抜け落ちます。

確認先:松戸市 中小企業デジタル化チャレンジ補助金(2026年8月6日に取得して確認)

二つ目:補助率と上限の「単位」を確かめる——上限は一つとは限らない

同じ松戸市のページで、今度は補助上限の欄を見ます。最初に出てくるのはこの一行です。

上限 総額50万円。

ここで読むのをやめると、「上限五十万円」だけが手元に残ります。ところが、続きがあります。

ウェブサイト制作費及び機器購入費の補助上限額は25万円

そしてさらに、その先があります。

機器購入費の補助上限額25万円のうち、パソコンやタブレットなど汎用性のある機械の購入費用の補助上限額は、10万円かつ、1台あたりの補助上限額は2万5千円です。

並べて数えると、総額で五十万円、そのうちウェブサイト制作費と機器購入費で二十五万円、そのうちパソコンなど汎用性のある機械で十万円、そして一台あたり二万五千円。上限が四段の入れ子になっています。しかも補助率の欄には「補助対象経費の3分の2 ※ただし、機器購入費については、2分の1」とあり、率のほうも機器だけ低く設定されています。

冒頭の計算は、ここから来ています。十五万円のパソコンを一台買う場合、機器購入費の補助率は二分の一なので七万五千円——になりそうですが、一台あたりの上限二万五千円が先に効きます。この一台に出るのは、最大で二万五千円です。何台買っても、汎用性のある機械の合計は十万円までです。

念のため書き添えると、これは公表されている率と上限を当てはめた単純計算で、実際に補助されるかどうか、いくらになるかは、申請要領にもとづく手続と審査で決まります。それでも、「上限五十万円」とだけメモして見積を組んだ場合と、一台あたり二万五千円と読めている場合とでは、資金計画の狂い方がまったく違います。

上限の数字を見つけたら、その数字の単位を確かめてください。事業全体の総額なのか、費目ごとの内訳なのか、一台あたりなのか。入れ子になっている制度では、いちばん内側の上限が、自分の買い物にいちばん強く効きます。

補助上限が4段の入れ子になっていることを示した図。総額50万円の内側にウェブサイト制作費と機器購入費の25万円、その内側にパソコン等の10万円、さらに1台あたり2万5千円がある。補助率も機器購入費だけ2分の1と低い。
松戸市 中小企業デジタル化チャレンジ補助金をもとに作図(2026年8月6日に取得して確認)。

確認先:松戸市 中小企業デジタル化チャレンジ補助金(2026年8月6日に取得して確認)

同じ制度でも、「枠」ごとに欄が別にある

区分名を探すとき、注意していただきたいことが一つあります。制度によっては、対象経費の欄が申請枠(申請類型)ごとに別々に書かれていることです。

国のデジタル化・AI導入補助金2026を例にします。通常枠のページで補助対象に並んでいるのは、ソフトウェア購入費とクラウド利用料(最大二年分)、機能拡張などのオプション、導入設定や研修・保守サポートといった役務です。ハードウェアの区分は置かれていません。HaruIroAIで取得したページの本文を機械的に確認したところ、「ハードウェア」という語そのものが一度も出てきませんでした。

一方、同じ制度のインボイス枠(インボイス対応類型)のページには、ハードウェアの区分がはっきりあります。PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機は補助率二分の一以内で補助額十万円以下、POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機は二十万円以下です。ただし、注記にこうあります。

ハードウェアを補助対象として申請する場合は、そのハードウェアがソフトウェアの使用に資するものであること。

ハードウェアのみの申請は不可である。

この枠のソフトウェアは、インボイス制度に対応し、会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つものと決められています。つまりここでも、機器はソフトウェアに付いて入る扱いです。十五万円のパソコンなら、補助率二分の一以内で、単純計算で最大七万五千円。冒頭の二つ目の数字は、この枠から来ています。

同じ制度の名前で検索しても、開いた枠のページが違えば、対象経費の欄は別物です。「この補助金はパソコンに使える」「使えない」という言い方だけで判断せず、自分が申請しようとしている枠のページと要領で、対象経費の欄を確かめてください。

確認先:デジタル化・AI導入補助金2026 通常枠同 インボイス枠(インボイス対応類型)(いずれも2026年8月6日に取得して確認)

三つ目:「対象とならない経費」の欄まで読む

対象の欄に載っていないだけなのか、対象外と明記されているのか。これを見分けるために、もう一つの欄を読みます。

国の小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)の第二十回公募要領には、「機械装置等費」の区分に〈対象とならない経費例〉が付いています。そこには、こう並んでいます。

自転車・文房具等・パソコン・事務用プリンター・複合機・タブレット端末・WEB カメラ・ウェアラブル端末・PC 周辺機器(ハードディスク・LAN・Wi-Fi・サーバー・モニター・スキャナー・ルーター、ヘッドセット・イヤホン等)・電話機・家庭用電気機械器具・その他汎用性が高く目的外使用になりえるもの

パソコンが名指しで挙げられています。冒頭の比較で〇円だったのは、この制度のこの欄が根拠です。

ここで読んでいただきたいのは、列挙のいちばん最後です。「その他汎用性が高く目的外使用になりえるもの」。名指しの一覧は、ここで閉じられています。自分の買いたい物が名指しされていなくても、仕事以外にも広く使える物であれば、この最後の一文に当てはまりうる——そういう前提で読む必要があります。並んでいる品目を眺めると、汎用性が高く、補助の目的以外にも使えてしまう物が除かれている、という考え方がこの欄から読み取れます。先ほどの松戸市の「ソフトウェア利用に必要不可欠ではない機器購入費」という対象外の書き方も、同じ向きです。

対象の欄だけを読んで見積に進むのではなく、対象とならない経費の欄まで読む。名指しの品目と、最後の包括的な一文の両方を確かめる。これが三つ目です。

確認先:小規模事業者持続化補助金<一般型>公募要領・第20回(PDF)同 事務局サイト(いずれも2026年8月6日に取得して確認)

見積の前に、この三つ

まとめます。補助金でパソコンやソフトの購入を考えたら、見積を出す前・受け取る前に、公募要領や案内ページで、この三つを確かめてください。

一つ目は、買いたい物が入る「区分名」。名前に条件が入っていたら、条件ごと読む。枠が分かれている制度では、自分が申請する枠の欄を見る。

二つ目は、補助率と上限の「単位」。率は費目で違うことがある。上限は総額か、費目ごとの内訳か、一台あたりか。入れ子になっていたら、いちばん内側の上限が自分の買い物に効く。

三つ目は、「対象とならない経費」の欄。名指しの品目と、末尾の包括的な一文の両方を読む。

この三つを先に確かめておくと、もらえる前提で資金計画を組んでしまうことも、逆に「パソコンはどうせ対象外」と思い込んで使える制度を検討から外してしまうことも、避けやすくなります。

制度ごとの上限と条件を並べて知りたいときは「パソコン購入に補助金は使えるか 国と千葉の5制度の上限と条件」を、そもそもその募集が今も生きているのかを確かめる方法は「補助金の募集が終わったかどうか、紹介ページだけでは分からないことがある」を、あわせてご覧ください。

この記事を書いた人

相葉 葵 / HaruIroAI 広報

HaruIroAIの広報担当。専門用語をできるだけ使わず、WebやAI活用の実践で分かったことを、小規模事業者向けに整理します。記事はHaruIroAIの検証記録と一次情報をもとに作成し、公開前に人が確認しています。

この記事の作り方

この記事は、構成・一次情報の照合・文章化にAIを使用し、HaruIroAIの編集ルールに基づいて作成しています。本文で引用した記載・金額・区分名は、2026年8月6日(日本時間)に、HaruIroAIが松戸市・独立行政法人中小企業基盤整備機構(デジタル化・AI導入補助金2026)・小規模事業者持続化補助金事務局の各ページと公募要領PDFを直接取得して確認したものです。確認先は各節の末尾にリンクを置いています。公的機関のページ・公募要領の記載は、この記事の公開後に更新されることがあります。この記事は個別の制度の申請可否をお伝えするものではなく、要領の読み方をお伝えするものですので、実際に申請される際は、必ずリンク先の現在の表示と最新の要領をご確認ください。内容は公開前に人が最終確認しています。