この記事では、「返さなくてよい」の但し書きに出てくる収益納付について、どの文書のどこに何が書かれているかを原文で確かめます。お伝えできるのは「二つの文書に何が書かれていたか」までで、個別の案件について納付が要るかどうかを判定するものではありません。

もとにしたのは、二〇二六年八月十七日にHaruIroAIで直接開いて確かめた一次情報です。国の小規模事業者持続化補助金(第20回公募)の公募要領(第8版)と、同じ制度の交付規程(2026年3月6日改定)を、いずれも補助金事務局の公式サイトからPDFの現物で取得しました。今回は、一つの制度の二つの文書を突き合わせます。

出発点は、公募要領の「13.その他」にあるこの一節です。

本制度は補助事業であり、支払を受けた補助金については、原則として、融資のように返済の必要がありません。ただし、収益納付や処分制限財産の処分により補助金の減額等がなされる場合があります。

返さなくてよいという説明と、減額等がなされる場合があるという但し書きが同じ一項に並んでいること、そして但し書きの後半にある処分制限財産の仕組みについては、「補助金で買ったものを手放す前に、要領に一段置かれていた」でお伝えしました。今回はその続きとして、但し書きの前半——収益納付——の中身を確かめに行きます。

収益納付とは何か——要領の中に中身は見当たらなかった

まず、この語が要領の中でどう書かれているかです。取得した公募要領の全文を機械的に走査すると、「収益納付」という語が出てくるのは二か所だけでした。ひとつは先ほどの一節。もうひとつは、同じ「13.その他」の少し前にある項で、次の一文の冒頭に出てきます。

本制度は補助事業であり、収益納付による補助金の減額交付や補助事業終了後の処分制限財産の処分による補助金の全部または一部相当額の納付等が必要となる場合がある(後略)

減額交付、納付等が必要となる場合がある。ここまでは書かれています。ところが、では収益納付とはどんな場合に生じて、いくら納付するのか——その条件や計算方法にあたる記載は、今回の要領の走査では見当たりませんでした。「収益が生じた」も「納付額」も、要領の中では一度も出てきません。語はあるのに、中身がこの文書の中にない、という状態です。

念のため書き添えると、「見当たらなかった」は「条件がない」という意味ではありません。中身は、別の文書にありました。

中身は、「交付規程」という別の文書の第27条にあった

公募要領には、「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>交付規程」という文書の名前が何度か出てきます。ただし、収益納付の説明の参照先としてこの文書が示されているわけではありません。要領のどこにも中身が見当たらない以上、ありそうな場所を自分で開いて確かめるしかない——そこで、公式サイトに公募要領と並んで公開されている交付規程を取得しました。表紙には「2025年4月25日制定」「2026年3月6日改定」とあり、サイトには改定前の版も並んでいたため、改定日で現行版を特定して開いています。文書の版を確かめてから読むという段取りは、「保存した公募要領が、最新版とは限らない」でお伝えしたとおりです。

その交付規程に、「(収益納付)」という見出しの条文がありました。第27条です。全文を引きます。

第27条 商工会議所地区事務局は、補助事業者が行う事業実施期間内に、補助事業の実施結果の事業化、産業財産権等の譲渡または実施権の設定およびその他補助事業の実施により収益が生じたと認めたときは、補助事業者に対し交付した補助金の全部または一部に相当する金額を商工会議所地区事務局が指定する口座に納付させることができるものとする。

条文の形をそのまま見ておきます。主語は事務局で、文型は「収益が生じたと認めたときは」「納付させることができる」です。収益が出たら自動的に納付が発生する、という書き方にはなっていません。また、挙げられているのは「補助事業の実施結果の事業化」など、補助事業に紐づいた事柄です。会社全体が黒字か赤字か、という言葉はここには出てきません。「儲かったら返す」というひとことに丸めてしまうと、この条文の語から離れます。

もうひとつ、「事業実施期間内に」という語が条文に置かれていることも、そのまま示しておきます。期間が終わった後の扱いについて、この条文は何も書いておらず、この記事でも解釈しません。自分の取り組みがこの条文の「事業化」に当たるのかどうかも、この記事が判定できることではなく、事務局や商工会議所に確かめる事柄です。

報告の様式は、実績報告書に添付する「別紙4」だった

では、これはいつ・どうやって話題になるのか。交付規程の別紙に、様式がありました。「収益納付に係る報告書」という表題の別紙4です。冒頭に【様式第8:実績報告書に添付】とあり、補助事業が終わって実績報告書を出すその場に、この報告が組み込まれていると分かります。様式の本文には、交付規程第27条の規定に基づき報告する、という文言があり、報告する内容は、次の三項目それぞれの有・無です。

1.補助事業の実施結果の事業化
2.産業財産権等の譲渡または実施権の設定
3.その他補助事業の実施により発生した収益

記載注意事項には、「1.~3.においてすべて「無」(1.については、事業実施期間内に売上なし)の場合には、上記の表への記入は不要」とあります。報告様式の上でも、誰もが金額欄を埋めるわけではない、という作りです。

金額の欄は、補助金額(A)から納付額(F)までが定義されています。たとえば「補助事業に係る収益額(D)」は、「補助事業に係る売上額(C)」から、同売上額を得るのに要した額(補助対象経費以外の製造原価・販売管理費等)を差し引いた額と定義され、ゼロまたはマイナスの場合にはゼロと記載する、とあります。ここでも単位は「補助事業に係る」売上と収益です。そして納付額(F)の欄には、次の計算式が書かれています(控除額(E)は、補助対象経費のうち自己負担によって支出した額と定義されています)。

「納付額(F)」=(「補助事業に係る収益額(D)」-「控除額(E)」)×(「補助金額(A)」/「補助事業対象経費(B)」) *円未満切上げ

この記事では式を原文のまま書き写すにとどめ、数字を入れた計算例は作りません。式の項の意味も、当てはめも、様式と事務局の領分です。

もうひとつ、同じ実績報告書に添付する別紙3(支出内訳書)にも、収益納付の欄がありました。補助金額の計算の最後に「(6)収益納付額(控除される額)」という欄があり、「交付を受ける補助金額(精算額)(5)-(6)」と続きます。注記には「収益納付がある場合には、補助金の確定額から納付分が減額されて精算されます(後略)」とあり、続きの括弧書きには、別紙4の納付額(F)をこの欄に記入する、という指定が書かれています。要領の(4)には「減額交付」という語があり、様式の別紙3には、精算額から差し引くこの欄が置かれていました。実績報告から入金までの順番そのものは、「採択されたのに、お金はまだ入らない?——補助金の「後払い」と、申請から入金までの順番」でお伝えしています。

確認先:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版・PDF)同 交付規程(2026年3月6日改定・PDF)(いずれも2026年8月17日に取得して確認)

「返さなくてよい」を確かめる、三つの場所

最後に、人づての一言ではなく文書で確かめられる場所を三つ。

ひとつ目。要領の「その他」の欄を、但し書きまで読む。「返済の必要がありません」は、「原則として」と「ただし」の付いた一節です。前半だけを覚えず、但し書きに出てくる語——収益納付、処分制限財産——を書き留めておく。

ふたつ目。収益納付の中身は、交付規程の第27条と別紙4で確かめる。今回確かめた範囲では、どんな場合に(第27条)、何を報告し、どう計算するか(別紙4)は、要領ではなく交付規程の側に書かれていました。読むときは、公式サイトで現行版を特定してから開く。

みっつ目。迷う点は、事務局・商工会議所に確かめる。自分の取り組みが条文の「事業化」に当たるのか、報告書に何を書くのか。文書の語をどう当てはめるかは、この記事ではなく窓口の領分です。

そして、今回確かめたのは持続化補助金の二つの文書だけです。別の補助金では、その制度の文書で「収益納付」「納付」にあたる定めを確かめるところから始めてください。この記事で確かめた記載を、ほかの制度へそのまま当てはめることはできません。

なお、この記事は二つの文書に何が書かれていたかをお伝えするもので、納付の要否や金額を判定するものではありません。引用した文面はいずれも二〇二六年八月十七日に取得した時点のもので、公募要領は第8版、交付規程は2026年3月6日改定の版に書かれているものです。実際のお手続きの際は、この記事ではなく、必ずその時点の現行版と、補助金事務局・商工会議所へのご確認をお願いします。

この記事を書いた人

相葉 葵 / HaruIroAI 広報

HaruIroAIの広報担当。専門用語をできるだけ使わず、WebやAI活用の実践で分かったことを、小規模事業者向けに整理します。記事はHaruIroAIの検証記録と一次情報をもとに作成し、公開前に人が確認しています。

この記事の作り方

この記事は、構成・一次情報の照合・文章化にAIを使用し、HaruIroAIの編集ルールに基づいて作成しています。本文で引用した記載は、2026年8月17日(日本時間)に、HaruIroAIが小規模事業者持続化補助金の公募要領(第8版)と交付規程(2026年3月6日改定)のPDF現物を、補助金事務局の公式サイトから直接取得して確認したものです。確認先は本文の末尾にリンクを置いています。引用は原文ですが、PDFから文字を取り出す際に生じる行の折り返しと字間の空白だけは、読みやすさのために整えています。文言そのものは変えていません。「この言葉が文書に二回しか出てこない」という形の確認は、取り出したテキスト全体を機械的に検索して、出現回数を数えています。本文の記載は、いずれも取得時点のものです。この記事は、個別の案件について収益納付の要否や金額を判定するものではありません。二つの文書に何が書かれていたかをお伝えするものですので、実際のお手続きの際は、必ずその時点の現行版と、補助金事務局・商工会議所へのご確認をお願いします。内容は公開前に人が最終確認しています。