書かれていたのは、「補助回数の制限」という独立した欄、「注意」という欄、「補助対象外となる事業者」という欄でした。金額の欄だけを読んで判断すると、この条件を見ないまま、使える制度を見送ったり、対象外の申請の準備を進めたりするおそれがあります。これから初めて申請する方にも、「金額より先にどの欄を見るか」という話としてお読みいただけるはずです。

この記事では、その条件が要領・ページのどこにどう書かれていたかを、三つの制度で順に見ていきます。

もとにしたのは、二〇二六年八月十二日にHaruIroAIで直接開いて確かめた一次情報です。松戸市の中小企業デジタル化チャレンジ補助金の申請要領(令和8年度)のPDF現物、千葉市産業振興財団のICT活用等生産性向上支援事業(タイプA)のページ、国の小規模事業者持続化補助金(第20回公募)の公募要領(第8版)のPDF現物を取得しました。なお、これはどこかで実際に見送りや取り違えが起きたという話ではなく、公開されている要領を読み比べた記録です。

「補助回数の制限」という欄が、それだけで立っていた

松戸市の中小企業デジタル化チャレンジ補助金の申請要領には、「補助回数の制限」という欄があります。補助率・補助金額の欄、補助対象経費の欄と続いたあとに、八番目の欄として独立して置かれていて、中身はこの一文だけです。

同一申請者あたり1年度につき1回まで。

数える単位は「年度」です。この要領の申請期間は、令和8年4月1日から令和9年2月26日までと書かれています。ただしここは注意が要ります。松戸市のページ本文は同じ期間の終わりを「令和9年2月27日」と書いており、要領と1日ずれています。どちらが正しいかは、市が出しているこの二つを読み比べただけでは決められません。締切に近い時期に出すつもりなら、市に確かめてください。

ここで一つ、読み方に線を引いておきます。この一文は「1年度につき1回まで」という上限の記載であって、「翌年度になればまた採択される」ことを約束する記載ではありません。申請期間や内容は年度ごとに変わりえますし、この要領の申請期間の欄には「※予算額に達した時点で募集を終了します。予めご了承ください。」という注記も付いています。この一文から読み取れるのは、同一申請者への補助が1年度に1回までと書かれている、というところまでです。欄の見出しも「補助回数の制限」で、申請書を出せる回数の話ではありません。不採択のあとに出し直せるかどうかは、この一文だけでは分かりません。

確認先:松戸市 中小企業デジタル化チャレンジ補助金令和8年度 申請要領(PDF)(いずれも2026年8月12日に取得して確認。ページの更新日表記は2026年5月1日)

年度の数え方と、内容の数え方が、同じページに並んでいた

二つ目は、千葉市産業振興財団のICT活用等生産性向上支援事業(タイプA)です。こちらは「注意」という欄の箇条書きに、こうありました。

採択は1年度1企業1回とします。

ここまでは松戸市と同じ、年度で数える型です。ところが同じ「注意」欄には支援の対象外になる場合が並んでいて、その三つ目に、もう一つの数え方が出てきます。

(3)過去に同じ業務内容で採択されている場合。

対象者の欄にも、同じ趣旨の要件があります。

(2)過去に当財団の支援事業にて同一業務内容による支援を受けていない者

つまりこの制度では、年度で数える制限と、年度をまたいでも効く「同じ業務内容」の制限が、同じページに同居しています。年度が変われば白紙になる、とは読めない書き方です。どこまでが「同じ業務内容」に当たるのかの基準はページに書かれていないので、過去に支援を受けたことがある場合の扱いは、財団への確認になります。対象者の欄そのものの読み方は「個人事業主でも補助金を申請できる?——金額より先に読む「対象者」の欄」でお伝えしています。

確認先:千葉市産業振興財団 ICT活用等生産性向上支援事業「タイプA:生産性向上小規模型」(2026年8月12日に取得して確認。ページには「~令和8年度受付中~」の表示があります)

回数ではなく、「前回からの期間」と「報告書」で書かれていた

三つ目の国の小規模事業者持続化補助金(第20回公募)には、「◯回まで」という書き方がそもそもありません。公募要領(第8版)では、「補助対象外となる事業者」という欄がその役割をしています。欄の冒頭にはこうあります。

下記に該当する事業者は、補助対象外となります。また、該当することが判明した時点で補助対象外となります。事前に十分確認してください。

対象外の一つ目に挙げられているのは、過去にこの持続化補助金の各事業で採択されて補助事業を実施し、報告書(様式第14「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果および賃金引上げ等状況報告書」)が未提出である事業者です。過去の各事業として、要領は①一般型 通常枠(過去の一般型を含む)、②コロナ特別対応型、③低感染リスク型ビジネス枠、④創業型、と番号を振って並べています。そのうえで、過去に採択され、補助事業を実施した事業者がもう一度申請できる条件は、こう書かれています。

※過去に上記①②③④の公募回に採択され補助事業を実施した事業者は、事業実施期間終了日の属する月の翌月から1年間が経過し、「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果および賃金引上げ等状況報告書」の提出を完了している場合に、申請が可能です。

回数ではなく、前回の事業実施期間の終わりから数えた期間と、報告書の提出という二つの条件です。「去年もらったからだめ」でも「毎年いける」でもなく、前回の事業がいつ終わったか、報告書を出し終えているか、で決まる書き方になっています。

同じ欄には、見落としやすい注記もありました。

代表者等が変更になった場合も「過去の補助事業者である」に該当します。

さらに、今回の第20回で採択され、補助事業を実施した場合に次はいつ申請できるかも、先ほどの条件とは別の一段として、同じ欄に書かれています。

※なお、「小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募」において、採択され補助事業を実施する事業者は、事業実施期間終了日の属する月の翌月から1年間が経過し、「小規模事業者持続化補助金に係る事業効果および賃金引上げ等状況報告書」の提出を完了後、さらに1年が経過してから再度の申請が可能です。

もらったあとの数え方まで、この欄で確認できます。

なお、この欄には、ここで挙げたもののほかにも対象外の項目が並んでいます。また、ここに引いた文面は第8版という現行版のものです。この制度では同じ公募回の途中で要領が改版され、まさにこの欄の文面が変わった実例があるので、お手続きの時点で必ず現行版を確かめ直してください。その話は「保存した公募要領が、最新版とは限らない——同じ公募回の途中で「第7版」から「第8版」に変わっていた」でお伝えしています。

確認先:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版・PDF)事務局サイト(いずれも2026年8月12日に取得して確認。事務局サイトの資料欄の表記は「第20回公募 公募要領 第8版(7月21日改版)」でした)

2回目の申請はできるのか——3制度で数え方が三通りだった

並べてみます。

松戸市は、年度で数えていました。「同一申請者あたり1年度につき1回まで。」という一文だけの、独立した欄です。

千葉市産業振興財団は、年度と業務内容の併用でした。1年度1企業1回という制限に加えて、年度をまたいでも効く「同じ業務内容」の制限が、注意の欄と対象者の欄に分かれて書かれています。

持続化補助金は、前回からの期間と報告書でした。回数の上限という形ではありません。しかも、どの公募回で採択されたかで条件が分かれています。過去の①〜④の公募回で採択され補助事業を実施した場合は、事業実施期間の終了月の翌月から一年の経過と、報告書の提出完了。今回の第20回で採択され補助事業を実施する場合は、そこにもう一段が加わります。終了月の翌月から一年が経過し、報告書の提出を完了したうえで、さらに一年——この三つが揃ってから、と書かれています。

この三通りという整理は、今回確かめた三制度を読んでこちらで並べたものです。制度側がこう分類しているわけではありませんし、ほかの制度がどの型かは、その制度の要領を見るまで分かりません。

2回目の申請の可否を3制度で並べた図。松戸市は年度で数え、千葉市産業振興財団は年度と業務内容の併用、持続化補助金は回数ではなく前回からの期間と報告書で書かれている。
今回確かめた3制度の要領・ページをもとに作図(2026年8月12日に確認)。

金額の欄より先に、「回数」の欄を探す

まとめます。

一つ目。金額や対象経費の欄を見る前に、回数や再申請の条件が書かれた欄を探す。今回の三制度では、その欄は「補助回数の制限」「注意」「補助対象外となる事業者」という名前で、いずれも金額の欄とは別の場所にありました。欄の名前は制度ごとに違いえます。

二つ目。見つけたら、その制度が何で数えているかを確かめる。年度なのか、業務内容なのか、前回からの期間と報告書なのか。今回の三制度だけでも、三通りありました。

三つ目。過去に受けたことがある場合や、今年度すでに申請した場合は、思い込みで見送ったり進めたりせず、窓口・事務局に自分の場合を確認する。「同じ業務内容」に当たるかどうかのように、要領やページだけでは判定できない条件もあります。

申請の前に確かめることは、回数のほかにもあります。申請より前に相談や書類発行の窓口を通る段取りが置かれている制度については「補助金の申請締切とは別に、11日早い締切があった——今回確かめた3制度では、申請の前に相談や書類発行の段取りが置かれていた」で、制度ごとの上限や条件の一覧は「パソコン購入に補助金は使えるか 国と千葉の5制度の上限と条件」でお伝えしています。

なお、この記事は要領・ページの読み方をお伝えするもので、個別の申請の可否の判定はできません。引用した文面はいずれも二〇二六年八月十二日に取得した時点のもので、持続化補助金の文面は第8版に書かれているものです。お手続きの際は、この記事ではなく、必ずその時点の現行版と、各制度の窓口・事務局への確認をお願いします。

この記事を書いた人

相葉 葵 / HaruIroAI 広報

HaruIroAIの広報担当。専門用語をできるだけ使わず、WebやAI活用の実践で分かったことを、小規模事業者向けに整理します。記事はHaruIroAIの検証記録と一次情報をもとに作成し、公開前に人が確認しています。

この記事の作り方

この記事は、構成・一次情報の照合・文章化にAIを使用し、HaruIroAIの編集ルールに基づいて作成しています。本文で引用した記載は、2026年8月12日(日本時間)に、HaruIroAIが松戸市の申請要領(令和8年度)のPDF現物と同市のページ、千葉市産業振興財団のページ、小規模事業者持続化補助金の公募要領(第8版)のPDF現物と事務局サイトを直接取得して確認したものです。確認先は各節の末尾にリンクを置いています。本文の記載は、いずれも取得時点のものです。この記事は個別の申請の可否を判定するものではなく、要領・ページの読み方をお伝えするものですので、実際に申請される際は、必ずその時点の現行版と各制度の窓口・事務局へのご確認をお願いします。内容は公開前に人が最終確認しています。